第12章 昔話〜重岡,神山,藤井〜 *
そうじゃない、そうじゃないねんって
俺はボロボロ流れる涙とともに
言葉も流れ消え去った。
「ごめん。ごめん。ごめん…」
避けられ続ける日が続き、
どうしたらいいか分からなくなった。
そんなある日、
「はじめまして!」
ニコニコ笑う男の子が
俺の目の前に近づいてきた。
「…見かけへんなあ?」
そう言うと、そうかなぁと
首をかしげた
淳「中間淳太、君は?」
「しげ、おか…大毅」
淳「よろしくな!」
にひ、と笑い差し出された手のひら
俺は思わず唇噛み締め、
その手のひらを払い除けた。
「構うな」
俺が欲しいのはお前なんかやない。
神ちゃんと流星、
2人が居ればそれでええねん
淳「何をイライラしとるん?」
「関係ないやろ」
淳「ないから直球に聞いてんねん」
「…アホなんちゃん」
あほってお前なあ、
と笑う淳太くんは
めげずに俺の横に座り込む。
「…友達に嫌われた」
淳「友達?なにしたん」
「…他の子といっぱい仲良くしたから」
淳「そんだけで?心狭いやっちゃな」
「お前に分からんやろ!あいつらの気持ち!」
淳「じゃあ、お前には何がわかっとるん」
怒鳴った俺に淳太くんは
まっすぐ目を見てそう言い返した。
淳「一方的なだけで、友達の気持ちは
ちゃんと聞いたんか?知ったんか?」
「そ、れは…まだ…」
淳「あんなあ?ほんまもんの友達ってのはな
喧嘩しても仲直り出来るように出来てんねん
ちっちゃい事でもおっきいことでもな?
ぶつかり合わな友達なんて言わへんやろ」
俺、神ちゃんと流星に
自分の気持ち言うたことあったかな
避けられて何が嫌だったのか、
聞こうとしたかな。
ほんまはたくさん考えてたのに、
押し付けがましい俺の自分勝手で
自己満足な気持ちにかき消されたんちゃう?