第2章 診療録管理規定
そして土曜日となり、俺らは他学部交流会へとやって来た。
室内に入ると見たこともない大学生で溢れていた。
「来たはいいものの誰と話せばいいのかしらね?」
さやは腕を組んで隅に立った。
「そうだな~。あっ、あいつなんか面白そうだぞ。」
俺は沢山の人がいる中で1人の青年に目が入った。彼は黒縁メガネをかけたさわやかな感じで手にはデジタルカメラを持っていた。
「やぁ、初めまして。俺は○○医大に通っている桐生蓮だ。よろしくな。」
俺は青年に迷わず話しかけた。
「初めまして。僕の名前は高橋直也 。××大学では映像クリエイターを学んでるんだ。それにしても君は医者の卵かい?凄いね。尊敬しちゃうな。」
青年は高橋直也というらしい。実にさわやかでいい青年だと俺は思った。
「そんなことないさ。まだ大学生だから駆け出しだけどな。来年4年生で就職活動が始まるのさ。それで悩んでて友達に国家試験も受けてバンドもやらない?って誘ったら驚かれちゃって。まぁ、無理もないよな。こんな馬鹿な事考えてる奴って他にいないしな。」
俺は人から褒められるのは久しぶりなのでなんだか照れてしまった。
「そんなことないよ。君には恵まれた才能があるんだよ。なんだかおもしろそうな活動だね。よかったら僕も参加していいかな?」
意外にも直也はバンド活動に参加したいと言ってきたのだ。これには俺も正直驚いてしまった。
「俺はかまわねーけどよ。それじゃあえっと直也って呼んでいいか?」
俺は直也に呼び方を聞いた。
「勿論だよ。僕は桐生君って呼ぶね。」
「おう、それじゃあ直也はサポートメンバーにしてやるよ。映像ってことはPVとかの作成もしてくれるんだろう?」
俺は直也が面白く気に入ったので正式ではないけどサポートメンバーとして迎えることにしたのだ。
「PVかぁ。映像の方は只今勉強中だから何とも言えないけどやれることはやってみるよ。誘ってくれてありがとう。でも君の友達はこの活動に乗り気じゃないらしいね。」
直也はメガネをかけなおして俺に聞いた。
「そうなんだよな~。確かに俺の発言は馬鹿だったのかもしれない。でも可能性にかけてるんだ。医療系バンドで売りだしたら絶対成功すると思うぜ。だってこのジャンルでやっている奴っていなくないか?」
俺は直也に聞いた。
「確かにそうだね。」
俺らがそう話していると向こうから友達がやって来た。