第12章 甘い贈り物【加州清光】

話を聞けば安定に私が清光に飽きられたんじゃないかと、言われたらしい。

「私が清光に飽きた？無い無い！」

「でもさ、今日…主、見送りも出迎えも無かったじゃん？」

「あ～あ…それはね」

私は清光にラッピングしたチョコを差し出した。

「コレ…」

「何…」

「チョコレート」

「ちょこれーと？」

「今日はね、バレンタインデーって言って、好きな人にチョコレートを贈る日なの」

「ばれんたいんでー…」

私の好きな人は清光。

「主、俺の事飽きてない？」

「うん」

「可愛がってくれる？」

「うん」

「俺の事好き？」

「…うん」

「俺も…好きだよ」

清光はギュッと抱きしめてくれる。

優しく…

「ねえ、主…開けてもいい？」

「どうぞ」

リボンをほどき、蓋を開ければハート型のチョコレート。

デコレーションは不格好だけど…

「食べさせてくれる？」

清光にお願いされたら断れない。

清光も知っていて頼んだんだ…

「と、特別だよ？」

「うん…あ～」

清光は口を開けて待っている。

「はい、あ～ん」

「ん…おいしい！甘い～」

「本当？」

「うん」