第8章 小さな主【鶴丸国永】
【前田】
鶴丸さんが遠征で留守になる間、僕たちで主君のお世話係を任命された。
「主さま、虎くんたちです…」
五虎退の虎たちが主君を囲みじゃれ合っている。
主君は頭を撫でたり、動く尻尾を見ながら頭を動かしたり…
「みて!主さまとお揃いだよ!」
乱兄さんは自分と同じ髪結いを主さまに付けていた。
「可愛い」
僕たちは主君を囲み手遊びや、以前主君が僕たちにくださった玩具で遊んでいた。
「本丸をお散歩しよっ!」
乱兄さんの提案で本丸の中を散歩する事になり、秋田と五虎退が主君の手を繋ぎ歩いていると
「いい匂いがします」
「燭台切さんが食事を作ってますからね…」
僕たちが匂いにつられていると
「あれ?主君は?」
秋田も五虎退も手を離しており、居たはずの主君が居なくなっていた。
ずぼっ!
「向こうから音が!」
音の方へ向かうと障子には穴が空いていた。
全て低い場所にあり、丁度今の主君位の位置だった。
「これを辿れば追いつきます!」
主君を探していると主君の声。
「ちゅーまゆ~」
見つけた場所は鶴丸さんのお部屋。
何か言いながらちゃぶ台の下の覗いたり、周りを見たりしていた。
「主君、何かお探しですか?」
「ちゅーまゆ~」
「ちゅーまゆ?」
ちゅーまゆとは何でしょう?
僕たちは考えても分からずにいると、主君が泣いてしまい今に至るということです。