第8章 小さな主【鶴丸国永】
【燭台切】
あれから主は粟田口の短刀くんたちと遊んでいた。
その間僕は食事の支度を始めた。
「光坊、帰ったぞ」
「鶴さん、お帰りなさい」
遠征に出掛けていた鶴さんが資材を両手に帰ってきた。
「主は?」
「向こうで遊んでるよ」
「そうか…」
「鶴さん、驚かせてはいけないよ」
「………わかっている」
どうやら驚かせようとしていたみたい。
「ぎゃぁぁぁ!!」
すると、どこからか泣き声が。
「なんだ!?」
「どうしたんだろう?」
泣き声の方へ歩くと短刀くんたちの背中が見えた。
着いた部屋は鶴さんの部屋だった。
「どうしたんだい?」
前田に声を掛けると、
「燭台切さん!それが…この部屋に来たら泣き始めてしまって…」
主はこの部屋で何かを捜していたらしい。
それがどこにもなく泣いてしまった…それが前田たちの話だった。
主の探し物が何かは分からないけれど
「主の探し物…一体何だろ」