第7章 主と安定くん【加州清光】
【長谷部】
今日は俺が近侍。
今日も主の為に尽くすのが俺の勤め。
「大変だぁ!主~!!」
朝から主を呼びながら俺を抜き去るのは加州。
「加州!廊下を走るな!」
俺が言い終わる頃には加州の姿は消えていた。
「ったく…」
主の部屋に着くと部屋の襖は全開。
「ねえ、どうすんの?」
「どうするって言っても…」
中では主と加州の声が
「おはようございます。主、今日の近侍、長谷部が来ましたよ」
「長谷部?き、来ちゃ駄目!」
「え?」
主に拒否された…
俺は一体主に何をしたというのか…
すると、部屋の中では主でも加州でも無い声が聞こえた。
短刀…いや、彼らよりも幼い子どもの声だった。
「主、入りますよ…」
恐る恐る足を踏み入れる。
進んでいくと、布団の上に寄り添う二人の背中。
声も二人の方から聞こえ、進めばより大きく聞こえた。
「主?」
「「長谷部!?」」
主と加州は驚きながら俺を向く。
どっかの白い奴と一緒にされては困るが、予想以上に驚かれた。
「あ~!」
「ん?」
幼い声は主の腕の中。
そこには本当に幼い子どもがいた。