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とある本丸のとある恋物語【刀剣乱舞】

第5章 驚きと幸せを【鶴丸国永】


『鶴丸国永だ。驚いたか?』

演練先で出会った鶴丸国永は私の知らない鶴丸だった。

別の審神者と仲よさそうに話す姿。

彼の隣に私が居ない。

悔しくて悲しかった。

そしてこの本丸にあった鶴丸の太刀が私の目の前で消えていく。

砂のように風に舞ながら。

手を伸ばしても届かない。

手の中に残った砂も風が奪って何も無くなった。

『つ…る…まる…』

「鶴丸!」

彼の名前を呼ぶと真っ暗な場所。

今は夜で私は眠っていた。

「夢…」

今のは夢だった。

頬を流れる涙。

夢なのに悲しくて止まらない。

「鶴丸っ!」

鶴丸が消えてしまう。

夢の様にここから居なくなってしまう。

私は部屋を飛び出し桜の木へ向かった。

寝間着のままでも、裸足のままでも構わない。

今は鶴丸の元に。

「あった……鶴丸っ!」

やっぱりあれは夢。

ここにはまだ鶴丸の姿があった。

私は鞘の部分を握りしめた。

「良かった…良かった…」

まだ、どこにも行ってない。

「っ!………うっ…」

どこにも行かないで。

涙が鞘に落ちる。

私の事を忘れていてもいいから。

落とし穴に落ちたって怒らないから。

近侍にだっていっぱい…たくさんしてあげるから。

「だからっ……帰ってきてよ…鶴丸っ」

私はそのまま桜の木の下で眠ってしまった。



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