第5章 驚きと幸せを【鶴丸国永】
【燭台切】
『鶴丸国永!』
『どうだ!驚いたか?長谷部!』
『貴様ぁ!』
毎日誰かに悪戯を仕掛ける鶴さん。
この日は長谷部くんだったんだけど、落とし穴に落ちたのは主だった。
『大丈夫?主。今助けてあげるからね』
僕が主に手を伸ばすその隣から伸びる白い腕。
『悪いな主…落とす気は無かったんだが…』
『今度やったら近侍にしてあげない』
『それは困る!主と一緒に居られないじゃないか!』
『だったらもう止めるんだな。主、今お風呂の準備を致しますので』
悪戯をしては長谷部くんに怒られる鶴さん。
『よし、明日は三日月にするか!三日月は中々上手くいかないからな…』
しかし、反省もせずに次の驚きを求めるのも鶴さん。
鶴さんがいる本丸は朝から晩まで賑やかだった。
そんな本丸が静かになったのは直ぐの事だった。
『御免…主。鶴さんが…』
僕の手には折れた一振の太刀。
出陣先で検非偉使と戦った。
部隊は重傷ばかり。
そんな中、鶴さんは僕たちを庇い折れてしまった。
『鶴丸らしいよ…』
そう言って主は僕から受け取った鶴さんをぎゅっと抱きしめた。
『お帰りなさい…』
それから主は直ぐに僕たちの手入れをしてくれて、いつも通りに振る舞ってくれた。