第4章 いつかは【一期一振】
『主さま…実は…』
粟田口の短刀たちが揃って私の元に。
着ている服の生地が剥がれたり破れたりしていた。
任せてと、引き受けたもの残念ながら本丸(うち)には今、小判が足りない。
刀剣男子の増えた今、資材や小判の消費が早かった。
だから今、ここにある生地や糸を使って直している。
「いたっ…」
何度も指に針を刺しながら一着一着縫い合わせていく。
周りにはいつの間にか眠ってしまった前田、平野、秋田に五虎退たち。
そして
「静かですね」
隣で一緒に服を縫う一期の姿があった。
「そうだね」
風で揺れる木の葉。
鳥たちの鳴き声。
遠くで聞こえる刀剣男子の声。
視線を隣に移せば一期の横顔。
「あっ…」
「主?」
「な、何でもない…」
一期の横顔に見とれてしまった。
どんどん上がる体温。
熱くなる顔を手に持っていた服で隠す。
「主、どこか気分でも…?」
「大丈夫…だから」
「でも…」
私を心配そうに見つめる一期に少し身体を後ろへ。
しかし、短刀たちが周りでお昼寝している為に動けるのはほんの僅か。
「あっ!」
「主っ!」
服の生地に滑りバランスを崩した私は後ろに倒れ、反動で一緒に一期も倒れてしまった。