第2章 初恋(木兎光太郎)
(やべぇ、俺、誤解されてんぞ。
このままは嫌だけどどうしたら…)
遠ざかる唯の姿に焦りを感じる。
(…ってもう覚悟決めろよ!俺!)
そう自分を奮い立たせて、
木兎は走り出した。
『…はぁっ、おまえ、
意外と歩くのはぇぇんだな』
「…っ
先輩がもう私には用がない様子でしたので」
見上げてくる唯の頬は、
心なしか赤くなっていた。
しばらく隣に並んでまた一緒に歩く。
少し沈黙が続いて、
『「……あの」』
『うわ!かぶった!先にいいぞおまえ!』
「いや、そこは年長者からどうぞ」
『うぉーまじかー…』
「もう学校見えてるんで早く」
『なんでおまえはそんな急かすかな…
赤葦じゃないんだから』
「あか、あし…?」