第2章 初恋(木兎光太郎)
翌朝。
「いってきまーす!」
いつものように唯が家を出ると、
家の前で木兎が待っていた。
「え」
その驚きの声に気付いた木兎は、ただ一言
『おはよう』
と言ってそのまま歩き出す。
なんだかよくわからないまま
唯もついていくが、
二人の間に会話はなかった。
____通学路も中盤に差し掛かってきた。
(なんか…そろそろ沈黙が辛くなってきたな)
いつも煩い木兎がこんなに黙っているのは、
なんだか変な感じだ。
見上げるとその横顔はなんだか
何かに思いつめているように見える。
「先輩?」
『なんだよ』
「…なにか、悩んでますか?」
『……いや』
絶対嘘だ。あれは、悩んでる顔。