第2章 初恋(木兎光太郎)
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
ふと目を覚ますと
腕時計は夕方の4時を指していて、
指し…ていて…
……?
「よじぃーっ?!?!」
木兎ははね起きた。
最後の記憶が昼休みということは、
どうも午後の授業を
全部サボってしまったらしい。
慌てて部活に行き、
赤葦に事の次第を話すと、
『木兎さん、普段使わない頭を使ったから
そんなことになったんですよ』
と冷静に言われた。
確かに、なにか悩みができたとしても、
たいていの場合木兎は「まぁいっか!」で
終わらせてしまうタイプの人間だ。
これ程悩むのはかなり珍しいことだった。