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フリリク:へし切長谷部の場合

第1章 まじない事件



この状況で休むという選択に主の性格上もう少し難色を示すかと思ったが、どうやら納得して頂けたようだ。同時に恋人としての時間を持てなかったことを気にかけていて下さった様子に、ほのかに胸が温かくなる。
だからなおのこと石切丸から頼まれた印の確認をしなくてはいけないという事案にため息をつきたくなるのだが…こうしている間にも時間は過ぎていく。原因を突き止めるためにも早く主に協力をお願いしなくては。

「………主、不躾なお願いなのですが…先ほどの呪いが入り込んだ箇所を見せて頂いてもよろしいでしょうか。」
「え?」

ゆるく抱きしめていた主のお体がピクリと微かに強張るのが伝わる。いくら恋仲とは言え、未だ深い中ではない男に肌をさらすのは抵抗があるのだろう。

「その…石切丸から呪いの印が浮き出ているかもしれないから確認してほしいと言われまして…」
「あ、ああ、じゃあ自分で…」
「呪いをかけられた本人には見えないそうです。」
「あ…そ、そう…わかった。入り込んだ場所に浮き出るの?」
「その可能性が高いそうですが…流動体だったことを考えると体内を移動した可能性もあるそうです。」
「うわぁ…想像すると結構気持ち悪いわね…」

嫌そうに表情を歪めながらも、主は一つ頷いて、俺の肩を軽く押し腕の中から離すように促す。離れてしまうぬくもりを残念に思いながらも解放すると、俺の真正面に座った主はご自身の白衣の襟元を掴み、ぐっと合わせを開いて見せた。
主の潔い行動に咄嗟に目を逸らしそうになるのを堪えて、呪いが入り込んだであろう部分に集中する。

「………長谷部、ある…?」
「…見えませんね…申し訳ありませんが、少し触れてもよろしいでしょうか?」
「え!?あ、はい…」
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