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フリリク:へし切長谷部の場合

第1章 まじない事件




主の自室に戻り、籠城の支度も整え一息をついた。
一息つけたためか、改めて主は困ったように眉尻を下げて俺に謝罪を始めてしまう。


「すみません…長谷部まで巻き込んでしまって…」
「巻き込まれた訳ではありません。主に何かあっては俺は…俺たち刀剣男士はそもそも顕現もできない存在です。これはあなただけの問題ではないのですから謝らないでください。」
「うう…不甲斐ない主ですみません…」
「それに、あなたと一緒にいられるのは役得です。」
「ふっ不謹慎です!」
「はい、すみません」
「いえ、不謹慎なのは私です…すみません…」

恐縮して縮こまるように肩をすくませた主を微笑ましく思いながら、先ほど石切丸に耳打ちされたことについて考える。





「主の体に印が出ていないかを調べてほしい。」

石切丸曰く、あの黒い物体が主の体の中に入ったのであればその印が体のどこかに浮き出ているかもしれないのだそうだ。
その印の紋様によって呪いの種類も、更には対処法もわかるかもしれない。
入り込んだ胸部に出ている可能性が高いが、液体状になったことを考えると主のお体の内部を移動した可能性もある。

「印が出る場所も印の大きさもわからないから、君に見てほしい。主自身には見えないんだよ。呪いを受けた本人だからね。」
「しかしそれは…俺が主のお体を見る…というのは…」
「胸部だけで済む可能性の方が高いから大丈夫だろう?あの様子だと胸といっても鎖骨下辺りのようだったね。君と主は恋仲なのだし、何か問題でもあるのかい?」

問題は大有りだ!!!

と、ここで叫びそうな言葉をぐっとこらえる。
確かに恐れ多くも主と俺は恋仲ではあるが、まだ体の関係はない清い関係だ。
問題しかない。が、口外できない。問題しかない…。

「私や他の刀剣男士には任せられないだろう?」
「当たり前だ!俺がやる!」
「お願いするよ。見つけたらこの紙に書き写してほしい。」
「ああ、わかった。」
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