第1章 まじない事件
「それで、どうすればいい?」
主の安全のため、具体的にできること、すべきことが知りたい。
募る焦りのままに口調がきつくなってしまうが、仕方ないだろう。
「…主の部屋に生活必需品は一通り揃っていたね?」
「え?は、はい、ありますが…」
「では私と太郎太刀で主の部屋に結界を張るから、主はそこから出ないようにしてくれるかな?」
「え!?」
「窮屈だとは思うけれど、呪いの出所を探るために主には結界の中にいてほしいんだ。それに呪いの影響を最小限に抑える目的もある。それほど悪質なものではないとは思うけれど…どんな効力のある呪いかわからない以上、発現したらどこまで影響があるかわからない。」
どこまで…それはつまり、この本丸全体、あるいは刀剣男士全員に。主のせいで悪影響があるかもしれないということ。
はっきりとは告げられなかったが、聡い主は石切丸が言いたいことを正確に読み取ったようだった。
主あってこその本丸であり我々刀剣男士だろう!と一瞬頭に血が上りかけたが、事態を解決するため、他の者を巻き込まないためと、こう言い含めておけば主は解決までおとなしくしていて下さるだろう。
一見穏やかそうな石切丸でさえこの老獪さ。これだから三条はと歯噛みしながらも、俺は口を噤むことしかできずにいた。