第9章 丸焼き×sushi×失格!?
予想もしていなかった課題に、他の受験者達がざわつき始めた。
「「料理っ!?」」」」
私にとっては嬉しい課題だけれど、男の人ばかりのこの空間ではあまり喜べるものではないようだ。
「なんでここまで来て料理なんかしなくちゃならねぇんだっ!」
他の受験者達を代表するかのような言葉だった。
ブハラさんとまでは行かないが、メタボの部類に入れそうな男の人が一歩前に出る。
「はいそこっ!文句があるなら帰りなさい!」
それを指差してずばっと切り捨てるメンチさんはすごくかっこよかった。
男の人は顔を歪め、ひとつ舌打ちをして黙り込んだ。
「他にも不満がある人わぁ~、今すぐ帰っていいのよぉ~…?」
態と……だろうが、どう考えても受験者達を煽っているとしか思えない物言い。
ゴン風に言うと、これも試験の一貫なのだろうか。
受験者達の中には不服そうにしている人も居たけれど、誰1人帰ろうとはしなかった。
「どうやら文句のある者はいないようねぇ…」
まぁ、ここで帰る人は正直どうかしていると思う。
ここまで来たのだから行ける所まで行ってやろうと言うのが、ここにいる人間の心情だろう。
「で、どんな料理を作ればいいんだっ?」
他の受験者達とは違い、切り替えの早いつるっぱげの青年が聞くとメンチさんが淡々と説明し始めた。
メンチさんの説明によると、まず私達はブハラさんが指定した料理を作る。
それに合格した人だけが、次に用意されているメンチさんの指定した料理を作ることが出来るのだそうだ。
そして、メンチさんの課題もクリアすれば晴れて二次試験合格。
試験はお腹がいっぱいになり次第終了らしい。
要は2人のお腹がいっぱいになる前に料理を完成させて食べてもらい、美味しければ合格出来ると言うわけだ。
まぁ……そう簡単には合格出来ないのだろうけど。
『料理なんて作ったことねぇぜ』
『こんな試験があるとはな…』
レオリオさんとクラピカさんは、どうやら料理経験がないらしい。
私は作ったことはあるけれど、一般的な家庭料理だけだ。
とてもじゃないが、美食ハンターである2人に認められるくらい美味しものが作れる自信なんてない。
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