第11章 探検×休息?×夢の中
レストランに足を踏み入れると、少し先の一角を人が取り囲むようにして立っていた。
何かあったのか、そこのテーブルだけが乱雑に床に投げ倒され、クラピカさんとレオリオさんが、割れたカップや溢れた液体を掃除している所だった。
『レオリオさん!クラピカさん!』
私がその場へと駆け寄ると、周りを取り囲んでいた人混みが割れる。
『ナナ!』
床からこちらへと視線を向けたレオリオさんが、私の名前を呼んだ。
『何があったんですか!?』
月並みな言葉しか出てこないが、それを隣で聞いていたクラピカさんが口を開く。
『少しトラブルがあったんだが、もう問題ないよ』
床に座り込み、カップの破片を拾い集めながら微笑むその姿に、どうしてか胸騒ぎが止まない。
ここに居るだろうと思っていた、キルアとゴンの姿がないのも気にかかる。
『あぁ。あいつら片付けもせずにどっか行っちまいやがって』
呆れたように呟いて、テーブルを起こすレオリオさんに慌てて手を貸した。
『だけどまさか、キルアがゾルディック家の人間だったとはな』
ひと言だ。
そのたったひと言で、テーブルを持つ手から力が抜けていく。
目の前の景色が真っ暗になりそうな程に、酷く頭を打ち付けた時みたいに、目眩がするようだった。
『……レオリオ、さん。今なんて……』
『??キルアがゾルディック家の人間だったって話か?』
何かの間違いであって欲しいと強く願うくらいには、それを受け止めたくないと私の心が叫んでいた。
『どうかしたのか、ナナ。顔色が悪いが……』
そんなにも顔に出てしまっていたのか、クラピカさんから声を掛けられる。
『ぁ、……気分が悪いので、どこかで休んできます』
単に一人になりたいと伝えるつもりが、遠回しな言い方になってしまったからだろう。
『一人で大丈夫か?もう少し待ってくれたら、俺たちも付いて行ける』
レオリオさんがそう言ってくれるのにも、覚束ない思考回路で応えを返す。
『……いえ、少し一人にさせてください』
本当は、一人になんてなりたくない。
ただ、キルア本人の口から、話を聞かなければいけない気がして。
すぐにでも会いたかった。
でも今のままの私じゃ、冷静に話が出来る気がしない。
だから、そうなるくらいなら一人で居たかった。
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