第7章 ドキドキ×ハラハラ!×なりたい理由
『見極める方法ならある』
未だに何かを話している2人の横でクラピカさんが口を開く。
たぶん、クラピカさんも最初から男の言葉を信じていなかった人のうちの1人だと思う。
『本物の試験官ならハンターのライセンスカードを持っているはず』
これ以上長くなるのも面倒だから、私も一言口を挟ませてもらおう。
『クラピカさんの言う通りよ。試験官は審査委員会に依頼されたプロハンターが無償で務めるはずだから』
前にニール兄さんに聞いた話をそのまま話すと、ゴンがサトツさんを尊敬の眼差しで見つめていた。
『とゆうことはあの人ハンターなの? すっげぇ~!』
「っ、カードはそいつに盗まれた!不意打ちされて、何もかもだっ!!」
突然の追求に焦ったのか、苦し紛れの言い訳をする自称試験官の男に呆れてしまう。
ハンターともあろう人がそんなに簡単にライセンスを奪われるはずがない。
そこら辺の魔獣にやられる人間がハンターだなんて笑ってしまう。
『それじゃあ、どっちがカードを持っていても証拠にはならねぇ!』
レオリオがそう言った直後、気味の悪い殺気を感じて思わず身震いする。
そして数枚のトランプが私の目の前を横切って行くのが見えた。
「がっ!!」
それは的確に男の顔面に突き刺さり、男は音もなくその場に倒れそのまま動かなくなった。
「クックックッ♦なるほどなるほど♠」
独特なその声を辿って行くと、右頬と左頬にそれぞれ星型と涙型のペイントを施した男が立っていた。
そんな男がトランプを自由自在に操る様はまるでーーーーーー…
(ピエロ……)
そんなことを考えていると、視線の先に居る男の手からまた1枚のトランプが飛んでいく。
それはいつの間にか起き上がって逃げ出そうとしていた、もう1匹の人面猿に突き刺さった。
「これで決定♦そっちが本物だね、試験官さん♥」
ピエロのような男の視線の先に居るのは私の隣に立つサトツさん。
その両手には、男の放ったであろうトランプがきちんと握られている。
たぶん、あのトランプには念が込められていた。
その証拠に、凝でサトツさんの手にあるトランプを見てみると微かだけれどオーラが残っていた。
あの男に関わるべきではないと、本能がそう告げている。
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