第7章 ドキドキ×ハラハラ!×なりたい理由
『私の親、私が小さい頃に殺されたの』
“殺された”と言う言葉を呟くだけで、ずっと忘れることの出来ない、目を逸らしたくなるような光景を思い出す。
それを頭の中から消してしまいたくて、もう一度深く息を吸って吐き出した。
『っ、……悪ぃ…』
バツの悪そうな顔で謝るキルアくんは今までにないくらい悄らしく、ゴンも暗い顔をしていた。
さっきまでの不敵な態度はどこへ行ったのかと少し笑ってしまう。
『気にしないで?』
2人は何も悪いことはしていないのだから。
それに、この2人にこんな顔は似合わない。
だから2人がこれ以上私の話を重く捉えないようにしたかった。
『それで両親を殺した奴の情報が知りたくていろいろ調べてみたんだけど、何もわからなかったんだ…』
わかったことと言えばククルーマウンテンに家があり、そこがちょっとした観光名所になっていること。
これだけの情報ではアイツを確実に殺すことなんて出来ない。
『だからハンターになって、専用サイトで情報を探せば何かわかるかもと思って』
態とらしくならない程度に軽く笑ってそう言葉を続けた。
あまりいい目的とは言えないけれど、これが私のハンターを目指す理由だ。
『『……』』
案の定暗い顔のまま俯いてしまう2人の姿に、小さく溜息を吐いて苦笑する。
『そんな顔しないで?』
そう言って目の前を走る彼等の頭の上に軽く掌を乗せた。
すると2人は勢い良く顔を上げ、「なんでわかったの?」と言う表情で私を見つめた。
(バレバレなのにな…)
思わず笑みが漏れたけれど、それでも2人の顔には未だに不安と罪悪感の色が残っている。
私はそれを見ているのがイヤだったのかもしれない。
『ほら、もうすぐ出口だよ』
全く違う髪質の2人の髪を乱暴に掻き混ぜると、やっぱり全く違う反応を返された。
『うわっ』
『っ、やめろよ!///』
どこか楽しそうなゴンと顔を赤くして私の手を振り払うキルアくん。
それを見届けた私は2人の間を通り抜け、さらにサトツさんの前に飛び出した。
『私先行くね!』
少しだけ後ろに振り返って駆け出すと、私を呼ぶ声が聞こえたけれど振り向きはしなかった。
2人の空気に呑まれて、私まで不安になりそうで怖かったから。
*