第7章 ドキドキ×ハラハラ!×なりたい理由
『でも、合格すればハンターになれるんだよ!』
やっぱり、ゴンにはハンターに対する強い憧れがあるみたいだ。
ハンターと言う言葉を口にした時の彼の目は、きらきらと輝いていた。
『……なんでそんなにハンターになりたいんだ?』
本当に意味がわからないとでも言うような顔をするキルアくん。
寧ろ、なんで君はハンターになりたくもないのにこんな所に居るのか聞きたい。
『オレの父さんハンターなんだ』
ゴンは進む先を真っ直ぐに見つめながらどこか誇らしげに言った。
『きっと、凄いハンターに違いないんだ!』
『『きっと?』』
私と同じ疑問を抱いたのか、タイミング良くキルアくんと声が重なる。
そのことに驚いたのかキルアくんの視線が斜め後ろを走る私に向けられた。
そうすると、前を向いている私とは必然的に目が合うわけで。
私は割と彼の瞳が好きだから無意識のうちにじっと見つめてしまっていたけれど、すぐに目を逸らされてしまった。
『オレ、おばさんの家で育てられたから……父さんは写真でしか知らないんだ』
ぽつりと吐き出されたそれは、ゴンのいつもの明るい表情からは知りようのない事実だった。
私はそのことに内心驚きながらもどこか納得していた。
私の幼い日の記憶にぼんやりと残っているのは、ミトさんと呼ばれる女の人の姿だけ。
と言うことは、お母さんは亡くなっている可能性が高い。
そしてさっきの言い方からすると、お父さんの方はゴンを置いて家を出たか亡くなったかのどちらかだろう。
どちらにせよ、ゴンにとっていいことではなかったはずなのに……
『でもそれでいいんだ!!オレ、父さんみたいなハンターになりたい』
それでも今、こんな風に笑っていられるゴンは強くて優しいと思う。
そんなゴンを優しげな笑みで一瞥したキルアくんは、そのまま視線を私に移した。
『ナナはなんでハンターになろうと思ったんだよ?』
話の流れからして至極真っ当なその質問に、私は自分の表情が強張るのを感じていた。
ハンターになりたい理由なんて、私にはたったひとつしかない。
あまりあの日のことは思い出したくないけれど、この2人には何故か話しておかなきゃいけない気がして、深く息を吸ってその先を呟いた。
*