第7章 ドキドキ×ハラハラ!×なりたい理由
まさか誰かに止められるとは思っていなかったのだろう。
『っ、なんで止めるんだよナナ!!』
意味がわからないとでも言うように私を見つめるレオリオさん。
その瞳はわかりやすく私を責めていた。
けれど私はトンパを庇ったつもりはない。
寧ろ私達の目の前でほっとした表情を浮かべているトンパを、殴り飛ばしたいとさえ思う。
(でもーーー……)
『トンパなんかを信用した私達が、……馬鹿だったんです』
そして、トンパを信用していなかったにも関わらず強く引き留められなかった私が一番馬鹿だ。
だからレオリオさんがトンパを殴ることはないし、責められるべきなのは私だと思った。
『ナナの言う通りだ』
静かに呟かれたその言葉で、無意識のうちに俯いていた顔が上がる。
『それに、テストに障害は付き物だろう?』
クラピカさんは諭すように、レオリオさんの肩を軽く叩いて言った。
するとレオリオさんは渋い顔で大きく舌打ちをし、振り上げていた拳を静かに下ろしてくれた。
「嬢ちゃんの方がよっぽどよくわかってるじゃないか」
それを見て自分は悪いことは何もしていないとでも言うように鼻で笑うトンパと、必死に怒りを抑えているレオリオさん。
さっき私が言ったように、騙される方が悪いという言うのは一理あるはずだ。
けれどトンパのしたことが肯定されるなんてことはまずないだろう。
そして、そのトンパがレオリオさんを馬鹿にしていいなんてこともあるはずがない。
『トンパさん』
レオリオさんを止めたのは自分なのに、私は一体何をしているんだろう。
『次この人達に何かしたら……』
首筋に当たるか当たらないか、ぎりぎりの所で動きを止めたそれが肉を裂くことはない。
冷や汗の止まらないトンパの顔を冷やかな目で見つめながら呟く。
『私、許しませんから』
ざわついていたその場は静まり返り、誰かが息を呑む音も聞こえたような気がした。
震えながら小さく頷くトンパを一瞥して、ナイフを太腿のレッグシースへと戻す。
小さく息を吐いてレオリオさんに目を向けると唖然とした顔でこちらを見つめていたけれど、私は小さく苦笑を返すことしか出来なかった。
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