第7章 ドキドキ×ハラハラ!×なりたい理由
爆風に乗って飛んでくる瓦礫を避けたり手で叩き落としたりしていると、突然逆の手が引っ張られてバランスを崩す。
今この状況で私の手を引けるのは彼しかいない。
『ちょっと待っ!?』
キルアくんは焦って声をあげる私に応えず地面から飛び上がったかと思うと、爆風なんて関係ないかのように突き進んでいく。
と言うことは手を繋いだままの私も必然的にその後を追うことになるのだが、彼の向かう先に見えるのはさっきの爆発で壁に開いた穴。
炎まで上がっているそこを通り抜けるなんて、ただの自殺行為でしかない。
『ちょ!!ほんとに何考えてるの!?』
目の前まで迫っている炎に、私は必死に繋いだままの掌を引っ張る。
するとキルアくんの視線がやっと私に向けられた。
けれど、どうやら遅かったみたいだ。
自分の体がかなりの熱に晒されるのを感じながら、私の瞳は意地悪く笑うキルアくんの姿を捉えていた。
炎の上を飛び越えると、さっきと同じような通路が現れた。
重力に従って瓦礫の散乱している地面に降り立ち、繋いでいた掌がするりと離れて行った。
そのことに何故か少しだけ寂しさを感じたような気がしたけれど、たぶん気のせいだろう。
数秒後に、ゴン達も同じように地面に降り立つ。
キョロキョロと辺りを見回しているゴンに対して、
『確かに手っ取り早いが、なんとも荒っぽい方法だな…』
クラピカさんは不安定な足場で体勢を整えながら、その否定的な言葉とは逆の悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
自分達が今どこに居るのかもわからない状況で笑っていられるクラピカさんはすごい。
けれど、この方法で本当にサトツさんに追いつけるのだろうか。
『いってぇ~、っ、いててててっ』
そんな疑問を感じていた時、不意に耳に届いたのは聞き覚えのある声。
その声が誰のものであるかがわかった途端、私達は走り出していた。
『レオリオ!』
地面にへたり込んで放心していたレオリオさんが私達に気付いて口を開く。
『ナナ、ゴン。……ピエトロは?』
一瞬、何のことかわからなかった。
けれど幻覚で何かを見たのだと気づいた私は、トンパに騙されたていたこと、惑わし杉の樹液のせいで幻覚を見ていたことを手短にレオリオさんに話した。
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