第7章 ドキドキ×ハラハラ!×なりたい理由
一発逆転する方法があると言う銀髪の男の子に手を引かれて、私もその場に立ち上がる。
ゴンは早くその方法が知りたいとでも言うように、私の隣に立つ彼を見つめていた。
けれど私は、繋いだままになっている掌の方が気になって仕方がなかった。
『ゲームは単純じゃつまんないだろ?』
どこまで続いているのかもわからない道の先を見つめて不敵に笑う銀髪の男の子。
恥ずかしさなんて微塵も感じさせないその顔に、気にしているのは自分だけなのかと思うとさらに恥ずかしさを感じた。
気が動転していたとは言え、自分でもすごいことをしてしまったと思う。
名前も知らない男の子に突然抱きついた挙句、大泣きしてしまったのだから。
その事も相まってか、私は自分の顔が熱くなっていくのを感じていた。
『もう一度会えたね……名前、教えてくれる?』
恐る恐ると言った感じのゴンの呟きに、彼はゴンの顔を見つめながら口を開いた。
『キルア』
その響きをどこかで聞いたことがある気がして、一人首を傾げる。
『キルア…』
ゴンがそう小さく繰り返して、それにしっかりと頷いて見せるキルアくん。
その間も、どこで彼の名前を聞いたのか思い出そうとしていたけれど、結局わからなかった。
『ねぇキルア、どうすればいいの?』
真剣な目つきで問うゴンに、キルアくんは自分のポケットに手を突っ込んで小さな筒を取り出して見せた。
『爆弾、結構すごいやつ』
(あぁ、なんだ爆弾ね……ん??ばく、だん……?)
淡々と言って退けるキルアくんに危うく流されてしまうところだったけれど、普通に生活している人間が爆弾なんか持ち歩いているはずがない。
彼は一体何者なんだろうかと言う疑問と、それに対する少しの恐怖。
『爆弾?』
それを掻き消すように、楽しそうに笑ったキルアくんがゴンの呟きに応える。
『ぶっ飛ばすのさ!この樹液べったりの気持ち悪い壁を』
キルアくんは手に持っていた筒状の爆弾を数㎝上に放り投げ、落ちてきたそれをもう一度掴み取った。
驚いて動けずに居る私達を無視して、彼は手にしているそれを一瞬の躊躇いもなく近くの壁に投げ付けた。
爆弾が壁に当たった瞬間、物凄い音と一緒に爆風が吹き寄せてくる。
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