第4章 マラソン×再会×新たな出会い
銀髪の男の子は驚いたように目を見開きこちらを凝視していた。
その時の私は、かなり間抜けな顔をしていたと思う。
薄暗いこの場所では、私を見つめる瞳がより一層蒼く澄んで輝いて見えて、少し見惚れてしまっていたから。
はっと我に帰ると急に気まずくなって、どちらからとも無く目を逸らす。
どこか居心地の悪いまま、しばらく視線を地面に落としていた。
よく見ると目だけじゃなくて顔立ちも綺麗だったな、とか。
私よりも背は高いみたいだったけど、歳はいくつくらいなんだろう、とか。
どうでもいいことばかりが頭の隅をちらついて、いつもより少しだけ心臓の音が大きく聞こえる。
何故こんなにも、あの子のことが気になるのか。
ない頭を使ってあれこれ考えてみたけれど、今の私にはわかりそうもない。
思わず溜息が漏れたその時、
『ねぇ、君!』
突然横から聞こえてきた声に驚いた私は、すぐに顔をそちらに向けた。
いきなり現れて私の隣を走るつんつん頭の男の子が、私の顔をじっと見つめながら言う。
『どこかで会ったことないかな…?』
どこか見覚えのあるその男の子の姿を探して自分の記憶を辿ってみるが、その子は見当たらなかった。
『えっと……、ちょっとわかんないかな…』
私が困ったように笑って謝ると、男の子は首を傾げた。
『おっかしいなぁ~……オレ、そうゆうの結構自信あるんだけどなぁ~』
首を捻って唸りながら走り続けるその子の息はそれ程乱れていない。
大人でも辛いこのペースに付いて行けるだけでも凄いことなのにと感心してしまう。
『ん~〜〜……、ま、いっか!』
ニカッと笑った男の子はこちらに右手を差し出して言った。
『オレはゴン!ゴン=フリークス』
『……ゴン?』
何故か聞き覚えのあるその名前を口にすると、どこか懐かしく感じた。
そしてふと小さい頃一緒に遊んでいた男の子の姿を思い出す。
そう言えばあの子も“ゴン”と言う名前だったような気がする。
ファミリーネームまでは覚えていないけれど。
だけどあの子も、今目の前で首を傾げている男の子みたいなつんつん頭でーーーーーー…
『ってえぇぇぇ!!?』
自分でも驚くくらい大きな声が出てしまった。
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