第4章 マラソン×再会×新たな出会い
仮にもハンターを目指す、それもいい歳をした大人が。
『こんなことして恥ずかしくないの?』
私の一言でそいつらの顔から完全に笑みが消える。
「調子乗ってんじゃねぇぞ…、ガキがあぁー!!」
男の怒り狂った叫びを合図に、私の目の前に刀が振り下ろされた。
やっていることは屑そのものなのに武器はいいものを持っている。
武器が可哀想だな…、なんて思いながらそれを避け男の懐に潜り込んで鳩尾に拳を沈める。
呻き声を上げて倒れ込むその男には構わず、背後から殴り掛ってきた男の拳を掴んで念を発動させた。
ブリザード
(吹雪の舞…) 「ひいぃ!!た、たすけ…っ」
男は見る見るうちに凍って行く自分の腕を握り締めながら、仲間であろう男達に助けを求める。
「た、た助けてくれぇっ!!」
「う、うわあぁぁー!!!」
仲間を見捨て、情けない悲鳴を上げながら元来た道を引き返していく男達には呆れてしまった。
だけど私の足元で放心している見捨てられた方の男が可哀想になって、少しやり過ぎてしまったかなと反省する。
まぁでも、元はと言えばこの人達が先に手を出して来たのだから自業自得と言えば自業自得なのかもしれない。
『氷は数分経てば溶けるし、気絶してる人も、たぶんすぐに目を覚ますと思います…』
少し罪悪感を感じたが仕方ないと割り切ってそれだけを伝え、見失ってしまった受験者達の後を追って走り出した。
あれから数分程度で受験者達に追い付いた私は、周りの荒い息遣いを聞きながら淡々と足を動かしている。
さっき受験者に囲まれている私を見ていた人達は、「なんでお前がここにいるだ」みたいな目をしていた。
完璧に舐められているのがわかってかなり苛ついたけれど、なんとか理性で抑え込み平静を装う。
(そうやって人を見下していると、いつか足元を掬われるんだから……と言うか、私は息乱れてませんけどね。)
全く苛立ちを隠せていない自分の思考回路に心の中で1人笑っていたその時、視界に銀色が映ったような気がした。
それは気のせいではなかったようで、少し先の人混みの中に銀色の髪の持ち主を見つけた。
その後ろ姿をぼーっと眺めていると、不意に銀髪の男の子がこちらに顔を向けた。
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