第11章 探検×休息?×夢の中
「だけど、その成功を妬む奴が居てね…」
果たしてそれが本当に、成功を妬んでのものだったかどうかも怪しいもんだ。
「ライバルの貿易商人が殺し屋を差し向けたってわけ」
けれどこいつは、その可能性の一つも考えていないらしい。
「調べるまでもなかった…、その殺し屋の名は……」
「ゾルディック家」
怒りを孕んだ声色で呟かれたのは、案の定俺のファミリーネームだった。
「世界に悪名を轟かせている暗殺一家だもの」
そんな大袈裟な物言いに、少し笑えて来る。
『暗殺一家……って』
不安そうに俺に視線を向けるゴンの顔が、少しだけ視線の端に映る。
『そうかそうか……つらいよなぁ、かなしいよなぁ』
どこか演技めいたおっさんの声が聞こえてきたのは、その直後だった。
『わかるぜ、その気持ち…』
女に向けて言っている言葉が本心であったとしても、あまりにも雰囲気が軽すぎる。
『一緒にハンターになってその夢、叶えようじゃありませんか』
かっこつけて言うおっさんが、この殺伐とした空気を変えようとしているのは何となく伝わって来た。
まぁ別に、頼んでは居ないんだけど。
『僕はレオリオと言うものです、あなたのお名前は?』
『アニタさんって言うんだ!』
女が答える前に、おっさんの質問に答えたのはゴンだった。
『アニタ…!いい名前だ…』
そう大袈裟に、女を褒めちぎるおっさん。
『どうです?こんな子供達相手ではなく、大人は大人同士…あちらでお互いの夢について語り合うと言うのは…』
「今はそんな気分になれないのっ!!私に構わないで‼」
予想通りと言うか、女はおっさんの言葉に聞く耳を持たなかった。
だから、そろそろこの話を終わらせようと口を開きかけたのに。
『そうもいきません』
誰かがそんな横槍を入れてきた。
『クラピカと言います』
そう名乗った男が、今日一日ゴンとつるんでいた奴の一人であることに気付くと同時に、おっさんの名前がレオリオだと言うことも思い出す。
『私もブラックリストハンターを志望していますので、あなたのことは他人事とは思えません』
なんでこんなにも、俺の周りにはブラックリストハンター志望ばかり集まるんだろう。
俺自身が、こいつらの捕まえるべき対象だからだろうか。
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