第11章 探検×休息?×夢の中
洋岩茶の入ったカップをソーサーの上に戻して、ふと考える。
さっきの視線はヒソカのものじゃない。
もっと異質な、嫌な感じだった。
(恨みか…?この中に、俺を恨んでる奴がいるって言うのか?)
『キルア?』
テーブルの下で誰のものかもわからないピアスを弄っていると、ゴンに名前を呼ばれる。
視線を上げると、ゴンがどこか不安そうな顔で俺を見つめていた。
『さっきから変だよ?』
俺の様子がおかしいことには気付いているが、その理由まではわからないって感じか。
きっとゴンは、あの視線には気付いていないだろう。
『別に…』
だからそれ以外に言いようもなく、俺は誤魔化すように別に今飲みたい訳でもない洋岩茶に口を付けた。
こんなことをしている間にも、俺は誰かに狙われているのかもしれない。
『ねぇ!試験ってあと、いくつくらいあるのかな?』
ゴンが努めて明るく言おうとしているのは、何となくわかっていた。
『さぁね』
けれど、そんな当たり障りのない会話ですら適当になってしまったのがいけなかったのか。
『ひょっとして、怒ってる…?』
眉をへにゃりと下げてこちらを伺うように見つめているゴンに、罪悪感のようなものが沸いて来る。
『……お前のせいじゃないよ』
ゴンから目を逸らしてぼそりと伝えただけだったが、それでもゴンは少し安心したようだった。
そんなやり取りをして、気が緩んでいたからだろうか。
「そこ、空いてる…?」
背後からやって来たそいつに声を掛けられるまで、その気配に気が付けなかったのは。
手に持っていたカップを置いて、テーブル横の通路に目を向けると、そこに一人の女が立っていた。
俺の左手の中にあるピアスを片方、耳に付けた女が……
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