第11章 探検×休息?×夢の中
『……なに?』
俺がそう聞き返すと、ゴンは外の夜景に目を向けたまま言う。
『キルアってすごいよ』
それだけ聞くと、俺の一体何がすごいのかわからなかった。
『オレ、キルアみたいに父さんを超えたいなんて、考えたことないもの』
けれど、薄々気付いていたことをまたゴンに言い当てられたって感じだった。
『そうか……親父捕まえるって、そう言うことだよな…』
親父を超える。
言葉ではこんなにも簡単に言えてしまえるのに、自分がいざそうなれるか考えると、途方もないことのように思えた。
『うん!出来るよ、キルアなら!』
それなのにゴンときたら、あっけらかんと言ってのけるから俺の方が呆れてしまう。
『全然説得力ないぞ⁉お前俺の親父の事知らないだろっ?』
あの人がどれだけ強く非情な人間か、ゴンは知らない。
『でもキルアのお父さんでしょ?何となくわかるよ』
にへらと笑ってまたお得意の何となく発言をするゴンは、少し危機感が足りないと思う。
『また何となくかよ…それじゃあ世の中通用しないんだって!』
全てが何となくこのくらい、って感覚で済まされるなら苦労しない。
敵の力量なんかを量る時にそれをしたら、間違いなくアウトだ。
『えっなんで?いいじゃん!!』
こいつはそれをわかっているのかいないのか、笑ってそんなことを言うから、俺は諦めて溜息を吐いた。
『もういいや……茶でも飲み行こうぜっ』
どうせナナもシャワーが終わったらレストランに来るだろうし、先に行って待っていればいいと腰を上げたそのときだった。
少し前にも感じたことのある、嫌な視線が向けられているのに気付いたのは。
俺はゴン焦ったように俺を呼ぶ声も無視して、その視線の出どころへと急いだ。
俺達が座っていたベンチからそう遠くない場所に、主線の廊下から別方向に向かう為に設けられた廊下がある。
一度目の時も、こんな感じの場所でナナが足を止めていた。
けれどそこには誰も居らず、既に逃げられた後だった。
苛立ちを隠しきれない俺は思わず舌打ちをして、ふっと視線を上げる。
そこにあったのはどこにでもあるような観葉植物だったが、その葉の部分にさっきの視線の主のものであろうピアスが片方、引っ掛かっていた。
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