第11章 探検×休息?×夢の中
そこまで聞いても何も言ってこないゴンをいいことに、俺が口を止めることはなかった。
『そん中でも俺、すげぇ期待されてるみたいでさぁ』
豚くんはともかく、兄貴じゃなく俺が後継ってのもよく考えればおかしい話だ。
『ガキの頃から殺しの英才教育受けて来たんだけど…』
兄貴も了承済みってのが少し怖くはある。
でもそれ以前に、俺の意思がどこにもないのがまずおかしいんだけど。
だから俺は、この場でその不満を吐き出すように喋り続けているのかもしれない。
『でも俺やなんだよねぇ、人にレール敷かれる人生ってやつ??』
俺は窓に映る自分から視線を外し、ゴンの方に顔を向けて家を出る時にあったごたごたを簡単に話す。
『自分の将来は自分で決める、って言ったら、親兄弟キレまくりでさ!!』
あの時のことを思い出しながら話していると、自分の声がデカくなっていくのがわかった。
『おふくろなんか!!俺が如何に人殺しとして素質があるか涙ながらに力説するんだぜ~!!?』
おふくろのキンキン頭に響くような高い声を思い出すだけで頭が痛くなりそうだ。
『ひでぇ親だろ!?グレるぜ普通っ!!』
聞いていたゴンが引き攣ったような顔で笑うのを見ていると、俺も自然と溜息が漏れた。
俺はまた視線を窓の向こうへ向け、窓台に腕を置き頬杖を突いて話を続けた。
『結局喧嘩になって、おふくろと兄貴半殺しにして家おん出てやった』
ここまで話したら、最後まで話さないと収まりがつかねぇもんな。
『今頃きっと血眼さ!!』
おふくろと豚くんなんかは、それこそヒステリックに喚き散らしていそうで笑える。
『まっ、来たら即行返り討ちだけどなっ!!』
イルミとか親父が出て来ない限り、ってのが前提だけど。
まぁそれも、これから自力で強くなってしまえば問題ない話か。
『俺、ハンターになったらまず、うちの家族全員捕まえるんだ~』
それが、大層に自分の将来は自分で決めるだなんて言い張った俺の、密かな目標だ。
今までに熟していたどの仕事よりも、圧倒的に難易度が高い。
けれどその分、殺り甲斐は半端じゃない。
『きっといい値段で売れると思うんだよねぇ~』
冗談半分でうっとりとした表情を浮かべながら言うと、ゴンが何か呟いたような気がした。
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