第11章 探検×休息?×夢の中
『使用人、200人くらい居るし』
これも本当のことで、決して話を盛っている訳ではない、断じて。
『キルアんちってお金持ちなんだぁ…』
わりと普通の反応が返ってきたからか、自分がそろそろナルシストの痛い奴になりかねないということに気付き、この遊びはやめることにした。
『お父さんとお母さん、何してる人なの?』
ゴンからしてみれば、何でもないような質問だっただろう。
けれど俺にとって、これに応えるのは一種の賭けだった。
『殺し屋』
淡々と口角を上げて言った俺の言葉に、ゴンがどんな反応を示すか。
ゴンは、怯える、逃げる、冗談だろうと聞き返す、以外の反応を見せてくれるだろうか。
『二人とも??』
聞こえてきたその言葉に、俺は一瞬自分の耳を疑った。
唖然としながらゴンに視線を移すと、そこには恐怖なんて微塵も浮かんでいない、きょとんとした顔のゴンが居た。
『……あっはははっ!面白いなぁお前‼』
驚きや期待以上の反応を返してくれた喜びなんて通り越して、笑いが込み上げて来た。
『マジ面でそんなこと聞き返して来たの、お前が初めてだぜ』
こいつは、今までに俺に近づいて来た奴等とは、やっぱりどこか違うのだろう。
『えっ……だって、本当なんでしょ?』
俺の言葉を本当だと信じた上で、この場に残ったゴン。
ただの恐いもの知らずなのか何なのかは、俺にもちょっとわからない。
この、人を疑うことを知らない感じも、俺にはないものだ。
『どうしてわかる?』
だからこそ、何でゴンが俺の言葉が本当だと言い当てられたのか、興味があった。
『何となく…かな』
ゴンが読めない顔でそれだけ言うから、きっと本当に何となくなんだろう。
『おっかしいなぁ……どこまで本気かわかんない子、ってのがチャームポイントだったのに』
『ちゃーむぽいんとっ?』
俺の冗談交じりの言葉をオウム返しするゴンには応えず、俺はそのまま自分の話したいことを話し始めた。
『うち、家族全員暗殺稼業してんだ』
それは俺自身も親と同じ殺人鬼であることを意味する。
『金さえもらえば誰でも殺す』
言葉の通り、殺しの対象が俺達より下の子どもであったとしてもだ。
一家全員抹殺……なんて依頼は、そう珍しいもんでもないからな。
*