第11章 探検×休息?×夢の中
『あんまり面白いとこなかったな』
飛行船ひとつをぐるりと見て回ったはいいが、興味を唆られる場所はこれと言ってなかった。
『そう…?結構楽しかったけどなぁ、オレ』
ゴンはわりと何でも楽しんで見てたって感じだけど、ナナは、終始飯を出してくれる所を探していた。
それはそれで、見ていて面白かったからいいんだけど。
飛行船内の見取り図を見つけてレストランの場所がわかった途端、今度は
『この近くにシャワー室がある!!』
と言って、すぐ様走って行ったナナは、何なら俺達よりも行動力があると思う。
ゴンと俺は、そんな彼女を待っている間暇を潰そうと、廊下のベンチに腰掛けて駄弁っていることにしたのだ。
『うわっ、キルア!見て見てっ!!』
突然呼ばれて驚きながらも、右隣に座っているゴンに目を向けると、ゴンは窓の外を見ていた。
俺もベンチを跨いで、身体ごと正面を窓の方に向けて座り直す。
『すっげえぇぇっ‼宝石ばら撒いたみたいだねぇ!』
薄くかかっていた雲が流れて行き、その下に黒い海が広がっているのが見えた。
そこに色とりどりの灯りが散らばっている様は、確かにゴンの言っている通りかもしれない。
俺も最初に夜景を見た時は、ゴンみたいに思ったんだろうか。
窓の外を見つめたまま、目を輝かせているゴンを見ていると、なんでだか頬が緩んだ。
『夜景見たことなかったのか?ゴン』
『こないだキリコさんに空を運んでもらったけど、こんなに灯りがなかったし……』
空を運んでもらうってどんなだよ…と、思わず心の中で突っ込んでいたら、不意にゴンの視線がこちらに向けられた。
『キルアは…?』
その質問に答えるのは何となく気が引けて、見ても何の感情も湧かない窓の外に目を逸らす。
『うち、自家用機とかあるから数えられないくらい』
事実ではあるにしても、こんなことを言うと自慢のようで感じが悪い気はした。
『ちょっとムカつく…』
だから素直に感情を言葉にするゴンには、思わず笑ってしまいそうになった。
と同時に、もう少し揶揄ってやりたいという欲が湧く。
『ないと困るんだよ。山丸ごと一個、うちの敷地だし』
『ええぇ…??』
驚きの声を上げるゴンがどんな顔をしているかはわからないけど、予想通りの反応に楽しくなってくる。
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