第11章 探検×休息?×夢の中
部屋を出て少しして、元気を取り戻したゴンとキルアが楽しそうに走り出し、私はそれを追いかけながら食堂のようなものがないか目敏く探す。
けれど今のところそう言ったものは見当たらず、私のお腹は空しく鳴るばかりだ。
『まずどこいこっか?』
探検とは言ったものの、私も、たぶんゴンも、飛行船に乗るのは初めてで、勝手がわからない。
だからなんとなく頼りにしてしまうのは、癪だけどキルアだった。
『決まってんだろ!コックピットだよコックピット!!』
(コックピットって、操縦室のことだったっけ……?)
年相応の男の子のように楽しそうに応えるキルアが可愛く思えて、小さく笑う。
『そっかぁ!』
ゴンも、コックピットがどこのことかわかっているかは怪しいけれど楽しそうだ。
そんな二人の声を聴きながら、右手を流れて行く窓の外。
星の良く見える空を眺めていると、どこからか嫌な視線が向けられていることに気付く。
その位置はある程度自分の中で予想がついて、足を止める。
窓とは逆側、左手の壁があるはずのそこに視線を移すと、薄暗い通路があった。
暗がりに佇む、ローブを身に纏った一人の女の人。
その翠がかった瞳と目が合うと、彼女は一瞬驚いた表情を見せて、そのまま通路の奥へと姿を消した。
彼女が見つめていたのは私か、或いは私の前を走っていた二人のうちのどちらか……。
そう思って視線を前に映すと、どうやらキルアはあの視線に気付いていたようで、少し行った所で立ち止まっていた。
それにつられる形でゴンも足を止める。
『どうしたの~?キルア』
ゴンはあの視線に気付かなかったのだろうか。
あの悪意に気付かないということは、彼女が見ていたのはゴンではないのかもしれない。
『なんでもねぇ!』
どちらにせよ考えてもわからないことだと諦め、どこにあるかもわからないコックピットを目指して走り出す二人の後を追った。
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