第11章 探検×休息?×夢の中
「ハンター教会に戻りませんと会議がっ…!」
ネテロ会長は見るからに焦っているその人から目を逸らして、顔を顰めて言った。
「…誰か代理を立てれば良かろう」
「しかしっ!!」
いきなり始まった二人の口論に、私含め周りに居た受験者達は皆、呆気にとられてしまう。
「仕方がないじゃろう、アクシデントじゃからして…、また何かあると困るでなっ!このまま同行する!」
口では困るだなんて言いながらも、その声と表情はどこか楽しげだ
(……会長がアクシデントを望んでいるように聞こえるのは私だけ…?)
メンチさんも溜息を吐いて会長を見つめているから、そうでもないようだが。
どちらにせよ、あの豆のような人がとても不憫だ。
「会長っ!!あなた様は会長なんですからっ…」
豆みたいな人の困り果てた声を遮るように、大きく咳払いしたメンチさんがそのよく通る声で言った。
「次に集合を掛けるまで各自自由時間とします!では、かいさ~ん」
その言葉を合図にばらばらと散らばって行く受験者達に倣って、私達も動き出す。
『自由だって!』
『あぁ、ゴン!飛行船の中探検しようぜ』
近くに居たゴンとキルアはまだまだ元気があるようで、そんなことを言っている。
探検と聞くと、疲れた身体には嫌な響きだが、どこかに食べ物を出してくれるところがあるかもしれないし、探しには行きたい。
『うん!ねぇ、ナナも飛行船探検行くよね!』
瞳を輝かせて誘ってくれるゴンの言葉が、問いかけと言うよりほぼ断定に近かったのが気になったけれど、行かないという選択肢はなかった。
『うん、ご飯食べれるとこ探したいしね』
『寧ろナナの目的はそれだけだろ?』
ゴンの隣からこちらを見ているキルアがにやにやと笑っていて、少しむっとしてしまうが態度には出ていないと思いたい……。
そんな中クラピカさんとレオリオさんは一早く壁際に陣取り、荷物を置いて壁に背を預け、ずるずるとその場に座り込んでいた。
それを見たゴンが、二人に荷物を預けて来ると言って走り出すのを見送る。
そして少しして、クラピカとレオリオも誘ったけれど断られてしまったと、しょんぼりしたゴンが戻って来て。
キルアと二人でゴンを元気づけながら、飛行船探検に出発するのだった。
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