第2章 あなたは審神者です
暗闇を落ち続けて30分がたったであろう頃、突然目の前が明るくなり落下とはまた別の浮遊感を感じた。
バッシャァァァァァン!!!!!
気が付くと私は水の中に頭から突っ込んでいた。
「ぷはっっっ!!!ハァハァ……なんなのよ!?」
自分の落ちた場所を見るとどうやら日本庭園の池のようだった。
「……ここが本丸ってやつ?」
雰囲気は、あのバカ(六弥)に押し付けられたテキストに書いてあったイメージと一致する平屋の大きな日本家屋。
「っくしゅ!!」
池から上がり髪をまとめながら濡れて気持ちの悪いスーツをどうしようかと考えていると、あのテキストの落ちた場所に文明の力たるタブレット端末が落ちていた。
「……こんなのあったっけ」
端末を拾うと、画面には私が読んでいたテキストの最後のページの内容が映し出され、『また、持ち運びが不便な場合はタブレット端末にデータを変換いたします。』とあった。
その一文を読んだ私は目を閉じ、あの暗闇を落ちてきた30分間のことを思い出した。
風圧に抗いながら必死に捲ったページ。
暗闇で必死に文字をおったおかげでつかれた目。
無理な姿勢を続けたせいで痛む身体。
深く息を吸うと私は、
「……あんた、こうなれるんなら最初からこうなってなさいよ!! って言うか、こう言うことは普通最初のページに書いておく注意事項でしょうが!!!」
絶叫した。
叫び終えて肩で息をしていると、突然タブレットの画面にあの憎き六弥の爆笑している顔が映し出された。
「フッ……フヒッ…ン"、、、。
ようやくそっちに付いたみたいだね。」
「あんだけ爆笑してごまかせると思ってんのか。」
軽く五分ほど爆笑した後おっさん臭い咳払いをして六弥は話し始めた。