第2章 あなたは審神者です
咳払いをすると、こんのすけくんはなんの脈絡もなくそう聞いてきた。
「……サニワとは、神の声を聞く巫女の事でしょうか。それとも、最近はやりの都市伝説のほうですか?」
ニュースで得た話題と仕事柄得た知識から答えを導き答える。
「へぇ、よく知っているなぁ。大抵の者は都市伝説程度の噂すら知らぬもが……お前仕事は何をしていた?」
「歴史博物館の学芸員を…」
来館者のほとんど居ないくたびれた博物館だったが、最低限に必要な知識位は持ち合わせている。
「さすが神奈様!! 大正解でございます!!
神の声を聞く巫女、そして都市伝説。どちらも正解です」
こんのすけくんの賞賛に違和感を覚えた。
「‘流石’ってどういう意味?」
まるで前から私を知ってたような口ぶりだ。
「以前より神奈様の事は政府の会議によく上がっていたので、どのような方かと思っていたのですが。
話に聞く以上に博学でいらっしゃる!」
「は??」
え、政府の会議ってどういう事?
確かに私は公務員だけど、そんな話題に上がるような役職でもないし、どんなに頑張っても市議会で名前が上がる程度だ。
「少し前までは、『ものすごい霊力を持った者が居る』と話題上がる程度で収まっていたんだが、哀れな娘だ。
このタイミングで呼び込まれるとは」
怪訝な顔で悩んでいる元町の表情に、にやぁっと意地の悪い笑顔を浮かべ六弥はそう言って「あー可哀想だ。」と呟いた。
どうやら政府の評価は私の業務態度ではなかったらしい。
なんか哀れまれてるし……。って言うかそんなことより。
「あ、あのぉ……申し訳ありませんが、私これから仕事があるんですが、お暇させて頂いてもよろしいですか?」
丁寧に言ったが要は『帰らせろ』ってこと。
というか帰る。
と言うか、もうすぐ初めてのの昇給試験なんだよ。
こんな所で評価を下げる訳にはいかないんだよ。
「え、帰れないよ?」
「………は?」