第2章 あなたは審神者です
見渡せば、10畳は有ろうかという三方を襖に囲まれた部屋。
東京の家賃9万のアパートではないことは明らかだった。
座り込み部屋を見てパニックになっている私の真後ろの襖が勢いよく開かれた。
【パンッッ!!】
後ろを振り向くと、時代錯誤も甚だしい袴姿の男性が立っていた。
「ん?……あぁ、君が新しい子か。」
少し考えた後男はそう呟き、私の顔を見るとニッコリと笑って部屋の前方にある一台高くなっている場所にドカッと腰を下ろした。
「え、私っ。こっ……ど、どこ!?」
「えーーーーっと本日はおめでとうございます、あなたは【審神者】に選ばれました、……あと何をいえばよかったんだっけ?
もーいや、こんのすけーー」
男は私のといに答えることは無く、手に持っていた扇子を弄びながら気だるそうにそう言うと、誰かを呼び始めた。
「え、あの…「あー、詳しい事はこんのすけに聞いてくんない? 俺そう言うめんどくさい事よく分かってないから。」」
え、じゃああんたはなんでここに??
色々理解出来ていない私は呆然と男性を眺めていた。
「こんのすけーー!!!
っあーもーいいよ!!」
その『こんのすけ』を呼び続けて五分ほど経ったころ、諦めたようにそう叫ぶと袖口からよくわからない形に切られた紙を取り出した。
「ふっふっふ…強制召喚!!!」
男は不敵に笑ってそう叫ぶと取り出した紙がひらひらと舞い私と男の間に落ち爆発した。
ボンッ!!
「む、六弥様!!何をされるのですか!!」
爆発の中から現れたのは割烹着を着たちんまりした白髪の少年。
「こいつは政府直属のセキュリティアバター兼俺の世話役の『こんのすけ』。
んじゃまぁ、こいつに説明頼むわ。よろしくねコンちゃん?」
六弥と呼ばれた男はニッコリと笑ってそう言うと、どこから取り出したのか黒い煙管を咥えた。
「……本日はおめでとうございます。あなた様は審神者に見事選ばれました!!」
「おめでとうって事でもないんだけどな…」
諦めたように説明を始めるこんのすけくんに、六弥さんが横槍を入れる。
「六弥様は黙っていてくださいませ!!
おほん…元町様は『審神者』という言葉をご存知ですか?」