第2章 あなたは審神者です
「審神者のこと知ってるのにそこは知らなかったみたいだねぇ」
そう言って私をニヤニヤと見る六弥とか言う男。
「審神者とは刀に宿った付喪神【刀剣男士】と呼ばれる者達を束ねる存在でございます。
物に宿りし秘めたる想いを実体化させ、そのものに戦う力と身体を与える能力を持つ者。審神者と刀剣男士の存在の全ては過去の歴史を改変し世界の均等を乱そうとするもの、歴史修正主義者を倒す為に存在致します」
理解できないと表情で伝えると、こんのすけくんは耳馴染みしない言葉を織り交ぜて説明してくれた。
「審神者になれるのは霊力を持つ者だけ。だから、政府のお偉いさん方は躍起になって審神者になれる者を捜索し見つけては審神者の活動の拠点となる各本丸へ飛ばしてるってわけ。
んで、そんな審神者に選ばれるということは少なからずともお前さんにはそれなりの霊力があるってこと~」
口ではおめでとうなどと言いながら『(笑)』と顔に書いて私に拍手を送る六弥は、私に『刀剣男士達』とやらの主たる資格があるのだと言う。
っと言うか『刀剣男子』って何??
「あ、因みに拒否権はないよ?」
「はぁ!?
そ、そんなのおかしいです!! 政府直属なんですよね!?
そんなのブラック企業とじゃないですか!!」
政府が管理してるんだ、そんな人権もへったくれも無い通りが通ってまるか!!
「まぁ、ブラック企業みたいなもんだもん」
「は、はい???」
長い指で弄んでいた扇子の先を私に向け、六弥はため息をついて口を開いた。
「あのねぇ。
公務員は基本的にこき使われて当然なんだよ? 君の職場は大丈夫だったみたいだけど、普通有給とったら睨まれるのが当然な世の中なの。それに昔はわかんないけど、今じゃ霊力のある人間自体が貴重なの。レアなのね。
しかも君は強い霊力を持ってる。そんな君を逃せば政府にとってマイナスになる。つまり……君はもう逃げられないんだ。
それによ、審神者になれば少なくとも君が今まで過ごしてきたつまらない日々とおさらば。新しい刺激的な日々が君を待ってるよ?」
「そんな……」
確かに私は代わり映えのない、つまらない生活が嫌だった。
けど…こんなの望んでない。
「あ、でも元の生活に戻る方法もないことは無いけど…」
「っな、なんですか!! 教えてください!!」