第3章 私の本丸だ
「え!? んん"……。」
『伽羅ちゃん』を支えていた背の高い眼帯くんの襟を掴んで引き寄せると、近づいてきた顔が想像以上に美形で驚いた。
私以上に驚いたのか、されるがままの眼帯くんに口付けて、力が流れるように念を送ると5秒程すると体を押し返された。
「こ、コレは一体……」
「本来違反行為らしいけど、手入れの時短テク。
直接私の霊力流し込んだから、回復が早い分審神者の力をごっそり持っていかれるからね。
だから本来は、審神者の霊力の制限も考えて資源を使って3時間くらいかけてやるんだけど、今回は場合が場合だからね。」
移動の時に六弥から聞いた事をそのまま口にする。
説明しながら、次の緑ジャージくんの前に立つと「では失礼」と声をかけてえりを持って引き寄せたが届かず、背伸びをして唇を奪った。
あー、なんかすごい犯罪臭い事してるの気になってきた……。
「っ、プハッ!!」
若干の目眩を覚えて口を離すと真っ赤な顔をした緑ジャージくんの顔がどアップで視界に入った。
「なんかごめんね…」
「……ッ。俺、もう嫁に行けねぇ」
「御手杵くん安心して。
どっちかと言えば君はお嫁さんを貰うほうだから」
膝を抱え大きな体を小さく丸める『御手杵』くんへ眼帯くんがフォローを入れた。
2人から離れようと1歩下がると、突然足から力が抜けガクンと視界が回った。
「ッツ!!」
回る視線の端で陸奥守吉行が手を伸ばしたのが見えたが、間に合わず空を切る。
倒れることを覚悟し目を瞑ったが、私の体には覚悟した衝撃の代わりにふわりとした感触が私を包んだ。
目を開けると、何か黒いふわふわしたものに包まれていた。
「ま、間に合った……。」
声が聞こえて慌てて起き上がろうとすると、黒いジャージにキラキラの金髪を編み込んだやんちゃそうな男の子がこちらに手を差し出して立っていた。