第3章 私の本丸だ
「この程度でそんなこと言ってたら次で死ぬことになりますけど?」
私がそう声をかけると「ひぃ!!」っと情けない声を上げて、いつの間にか縁側に集まっていた刀剣男士たちに視線を向けた。
「お前達!! こいつをなんとかしろ!!」
石川の声に動くものなどいない。
と言うか、ろくに手入れをされていない状況で動ける者がいない。と言った方が正確だろう。
その軽く2.3度殴るとショックと痛みからか石川は気を失なった。
石川からでた涙やら鼻水で濡れた拳を服で拭う。
汚れた服を脱ぎ捨てタンクトップ姿になった私は縁側に歩み寄った。
こんな男に使う優しさなんて持ち合わせていないので庭に放置し、縁側に集まった刀剣男士に声をかける。
「騒がせて申し訳ない。
ここまで来れたってことは、君たちはそれほど重症じゃないってことでいいかな?」
「そうだけど……。君は…何者だい?」
眼帯をつけた背の高い男の人が私の問に答えてくれた。
「私はこの本丸の現状回復のため、送り込まれた審神者って所だね」
「審神者……」
背の高い緑のジャージ姿の青年が私を睨みつける。
まぁあんなのが今まで審神者だったんだから、新しいって言ってもあまりいい気もしないのも当然か。
「とりあえず、君達の怪我治すからそこに座ってー。
じゃあそこの君から。」
色黒の青年に声をかけるが、私を睨みつけたまま動かない。
「んー、嫌ですか。」
「当たり前じゃ。 おみゃはあの男達と同じ人間で、尚且つ俺達の新しい審神者なんじゃろ?
信用できるわけがない」
そう言った頭に布を巻いた土佐弁の青年に覚えがあった。
確かあのテキストに書いてあった……
「陸奥守吉行だっけ?」
「そうじゃが……」
「初期刀の打刀の1つだよね、テキストで読んだ。」
「なんじゃ、おんしは審神者じゃろ。政府の人間ではないのか?」
「あー、一応国に属す公務員ではあるんだけど。
まぁ、本来なら君たちの事を知るはずのなかった場所に居たかな?」
元は国立博物館の学芸員だからな違うとも言えない。
「ほぉ、巻き込まれたっちゅうところかのぉ。」