第3章 私の本丸だ
私が拳を構えると、タブレットから六弥の声が聞こえた。
『やめるんだ神奈ちゃん!!』
「……ムリ」
『君が調査してくれた結果を元に、今政府の調査員が向かわせた。
だから……』
「そうですか。
では手短に済ませますね。」
石川は私を止める声に怯えた表情をした。
「む、六弥様? 」
『……やあ、久しぶりだね石川。何度面会を申し込んでも拒否されるから、こんな形で会いに来たよ?
ま、これが君と話す最後だろうけどね。
で、神奈ちゃんはそのままステイ!!』
六弥の声に焦りだす石川に視線を向け足を踏ん張り、六弥に声を返した。
「私はお前の犬になった覚えはないので知りませーん。
骨喰くん、悪いけどその画面の右上のボタン押してもらっていいい?」
「あ、あぁ」
笑顔で骨喰くんにそう声をかけると、彼は不安そうな顔をしながら画面を操作してくれた。
『ちょ、ほんとに待っ……』
ブツっと音を立てて通話を終えたタブレットを持つ骨喰を眺める顔面蒼白な石川?
「さて、これで邪魔者は居なくなった。
石川さん、あなた自分が何したかわかってる?」
現代に置き換えれば性的暴行。
「う、うるさい!! この本丸は俺のもんだ、俺が俺の持ち物をどう扱おうと俺の勝手だ!!」
その瞬間、私の中でなにかが切れる音がした。
「……じゃない。」
「何???
もっとはっきり喋らないと聞こえな……」
私の声が拾えなかったのか、石川が不機嫌そうに口を開く。
「彼らはアンタの物じゃないっつってんだよ!!
このクソ野郎が!!」
私の叫びが、本丸に響いた。
私の声に対して石川がなにか喚いているけど、この男に何を言っても一緒だ。
私は踏み出すと同時に振り上げた拳を振り下ろした。
空を切った拳は見事石川の顔面にクリーンヒット。
拳の隙間からハラハラと砕けた石が落ちる。
小娘の拳に吹っ飛んだ自分と、あまりにな痛みに驚いたのか石川は尻餅を付きじりじりと後ずさった。
「な、何を」
涙目でそんなことを聞いてくるが無視して新しい石を拾う。
別に可愛くもないので容赦はしない。
「ん? 何ってみんなの気持ちを味わってもらおうと思って」
座り込んだ石川の肩を目掛けて振り上げた踵を振り下ろす、すると石川は叫び声をあげて激しくのたうち回った。