第10章 連続爆破事件
「相手は異能力者で構成している密輸組織だ。こういう事態を想定してる可能性が高い」
「へえ。の割りには人数少ないねえ。天下のポートマフィアとあろうものが人手不足?」
「理由なら手前ェの方が詳しいだろうが」
「あー組合との衝突ねー」
ヘラヘラ笑う顔は何処か元気がない。
「何だあ?また毒キノコでも喰ったのか?」
「ふふっ。この界隈に一本で致死量の茸は中々無くてねぇ」
何か可笑しいな……。
そう思ったのは元相棒故の勘か。
中也は思いはするが声には出さなかった。
「そういえば横取りされた爆弾ってどんなの?」
「1つの端末で10個迄の爆弾を一斉に操作できる高性能爆弾だ」
「へぇ。全くの同タイミングで爆発が起こせるのか」
「ああ。手動で動かせば各々を好きなタイミングで爆発することも可能らしい」
「じゃあその場に居ながらも逃げながら自分から遠いところから順に爆発させることも可能って訳か」
アリバイ工作も簡単にできるってことか。
太宰は顎に手を当てて感心している。
「何よりその爆弾自体に『タイマー』が付いていないらしいから、見付かったとしても『いつ爆発するか判らない』から下手に手が出せないって寸法だ」
「画期的だねぇー。要はその端末が凡てってことだろう?」
「そういうこった」
そんな話をしていると目的地に到着したのか。
先程とは比べ物にならないくらい静かに停車する。
車を降りる四人。
出迎えた方は3倍を越える人数だった。
「この度は申し訳無い」
「……。」
リーダー格と思われる男が歩み寄る。それに応じて中也が前に出た。
「横取りされたもんは仕方ねぇ。然し、俺達はマフィアだ。ヤられたら倍にして返すのが基本理念。俺達の荷物を『横取り』していった連中の情報も寄越せ」
どうやら太宰の代わりに必要なことを訊いてくれるらしい。
その光景を黙って見ている太宰。
「勿論ですとも。そいつらは異能力を持ってまして…」
ペラペラと話始めるリーダー。
その話を一字一句流さずに脳内に納める太宰。
作戦参謀と、肉体強化系の異能力者。
操作系の異能力者が一人と、ハッカー。
四人か。まあ妥当な人数だね。
「信じるんですか?」
「ん?」
隣の男、中也が連れてきた部下が小声で話し掛ける。
「あの連中の話」
「うん、勿論」
太宰はあっさり言った。