第10章 連続爆破事件
「乱歩さんが居ればなあ」
「まあまあ、敦君。居ない人を当てにしちゃ駄目だよ。頑張ろう」
「そうですね」
敦がまた資料を読み出す。
「谷崎、妹は大丈夫なのか?」
「あ、はい。太宰さんに申し訳無いと昨日は半狂乱でしたが世話の限りを尽くすと病院に行ってると思います。」
「そうか。何で妹が狙われたのか分からん以上、夜道は絶対に独りで歩かせるな」
「はい」
ピピピピピ……
「ん?」
谷崎の電話がなる。
相手は正に話題の的である妹からだった。
「もしもし?うん。……え?紬さん?」
紬の名前を聞いた瞬間に全員が谷崎を注目する。
「紬さんなら暫く休暇を取るって……具合も善くないらしいし、太宰さんと一緒に居るンだろ?」
谷崎の顔がみるみる険しくなる。
「………判った。」
ピッと電話を切る。
「どうした?」
「紬さんが……病室に居ないそうです」
「えっ?!」
敦が思わず立ち上がる。
「直ぐに捜しに……」
「いや、待て。紬は普通に何処にでも行けるだろう。今は休暇中だ。何か思うことがあって出掛けてるのかもしれん」
「でも……万が一誘拐ならっ!」
「もしそうだとしてもマフィアの拘束から飄々と抜け出してきてるんだぞ?」
「………。」
確かに。
先日、太宰さん達はマフィアに捕まったって言ってたけど紬さんに至っては怪我ひとつしていなかった。
考えを改める敦。
「それよりも目先の事件の解決だ。何か判ったか?」
「あ、はい。えっと……」
昨日の太宰との操作で幾つか判った事を述べようとしたその時だった。
事務員が大判の茶封筒を国木田に渡す。
本日の郵便のようだ。
「武装探偵社様………『爆弾魔集団Xより』……爆弾魔集団だと!?」
「「!?」」
慌てて中身を確認する。
「先ずはご不幸をお悔やみ申し上げます。此れで『異能力無効化』と云う脅威は無くなった――」
国木田が読み上げる。
「じャあ最初からナオミではなく太宰さんが狙いだッたのか!」
「ああ…庇うのを見越してか。頭が切れる連中だ」
そして続きを読み始める。
「『時ガ始点カラ終点ニ戻ル時、世界ハ浄化ノ炎ニヨリ始点ニ戻ル』……」
「急に暗号みたいな文になりましたね」
敦がうーんと考え始める。