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【文スト】対黒

第10章 連続爆破事件


とある医療機関―――

その廊下を凄い速さで女性が走り抜ける。


連絡があった場所までそのスピードは落ちることは無かった。

漸く目的地に到着すると目の前の扉をみる

『手術中』のランプは赤々と付いたまま。

「治……」

「紬さん……」

呆然と立つ紬に、太宰と一緒に来ていた敦が声を掛ける。

「状況は……?」

「……弾は貫通してますが急所に当たっているそうです……出血も酷くって……」

敦がポツリポツリ話す。

そんなとき

「「!」」

手術室の扉が開く。しかし、ランプは消えない。

「出血が酷くて血液が足りません。何方か親族の方は……」

「私が。」

紬が直ぐに反応する。

「それでは直ぐに此方に!」

そう言われて紬は中に入っていった。

―――

それからどれ程の時が経っただろうか。

「敦!」

「国木田さん!社長!」

駆け付けた二人を見て立ち上がろうとする敦だったが、止めて会釈だけする。

肩に紬が頭を預けて眠っているからだった。

それに気付き、声の音量を落とす。

「状況は」

「まだ油断できない状態です。紬さんが限界まで血を提供してますが……」

敦が言い終わると紬に目をやる。

「………。」

此方も生きているか判らないほど血の気が全く無かった。

「遠隔射撃か」

「はい。犯人の顔おろか、居たと思われる場所も判りません」

済みません……と謝罪する敦に首を横に振る国木田と福沢。

「犯人は後でも捜せる。適切な判断だ」

国木田は敦にそう言うと手術室に視線を移す。

「!」

ランプが消えた。

中から執刀医らしき人物が出てくる。

「手術は無事、成功しました。一時、大変危険な状態でしたが彼女の輸血のお陰で今のところ安定してます。」

「そうですか……」

国木田と敦の目に涙が浮かぶ。

「然し、まだ油断できない状態です。意識も戻ってません」

「…………。」

それはそうだろう。
急所に当たって生きていることが奇跡なのだから。


「………治?」

紬が目を覚ます。

「紬、手術は終わったぞ。一命は取り止めた」

「!」

その言葉に急に立ち上がるが


「っ!」

ガクッとよろけ、慌てて国木田が支える。
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