第10章 連続爆破事件
爆破事件の始まりは四日前。
探偵社に一気に依頼が舞い込んできたのも、確か四日前。
「………。」
紬は先程行った資料室にもう一度足を運んだ。
―――
探偵社の社員寮までの帰路。
「真っ暗ですわね」
「うん」
女二人で歩いているには暗すぎる夜道。
「最近皆さん忙しそうですわ。疲れて身体を悪くしなければいいけれど」
ナオミが心配そうに云ったときだった。
「ナオミさん、鏡花ちゃん!」
「「!」」
聞き覚えのある声に呼ばれ立ち止まる二人。
街灯だけが道を照らす中、現れたのは
「敦さん、太宰さん。お疲れ様です」
予想通りの人物。
「今帰りかい?」
「ええ。暗くなったし最近、物騒になったからなるべく早く帰るように兄様に云われていたので」
「妹思いの良いお兄さんだねえ、谷崎君は」
「僕、寮まで送りますよ」
「そんな!お疲れのところ悪いです。私達なら大丈夫ですわ」
ナオミが二人を気遣って遠慮する。
「なに。大した距離ではないから気にしなくて善いよ」
ふふふ。と笑いながら太宰が云った
ってことは太宰も一緒に行くらしい。
こうして四人で歩き始めた。
暫く歩いて見慣れたアパートの前に着く。
「態々、有難うございました。」
「お仕事頑張って」
ペコリと頭を下げる女性陣。
「有難う」
敦が笑顔で答える。
太宰も次いで何か言おうと口を開いた時だった。
キラリ
先程まで無かった赤い点がナオミの額浮かんでいることに気付く太宰。
「っ!ナオミちゃん危ないっ!!」
「えっ?」
太宰がナオミを横側に突き飛ばすのと
パスッ
「っ!」
太宰の胸から血が吹き出るのが重なった。
「「「太宰さん!」」」
ドサリと倒れ込む太宰。
地面が血で染まり始める。
「与謝野さんにっ……!」
慌てて携帯電話を取り出す敦。
「敦さん救急車です!太宰さんは与謝野先生の治療は受けられません!!」
「!」
『人間失格』のせいか!
慌てて救急車を呼ぶ敦。
「ぅ……」
太宰が小さく呻く。
「ナオ……ミちゃ……」
「喋っちゃ駄目です!!」
必死に傷口を押え、止血するナオミ。
「紬に………連ら……し…て」
そこまで云うと
「太宰さん!」
太宰は動かなくなった。