第10章 連続爆破事件
「は?30分?」
「うん。30分」
何年分の資料だと思っているのか?等とツッコミを入れるレベルでは無い。
「さて爆弾魔の資料はっと……」
太宰がのんびりした様子で資料を眺める。
事件の始まりである一番目の爆破は、とある公園の公衆トイレだった。
それから始まり、空家だった民家、コンビニ、スーパー………そして今日が複合施設の建物。
徐々に規模が大きくなっていっているのだ。
今日の分を除く8件分の資料を読み、敦に渡す。
「ところで今件は3人で動くの?」
「………それを今考えているところだ。」
受け取った資料に目を通す敦を横目に太宰が国木田に話しかける。
先日、『北米異能力者集団 組合(ギルド)』から宣戦布告を受けたばかり。
ただですらピリピリしている空気の中で断れないような依頼が後を絶たないのだ。
「紬は事務所で待機してた方が次に備えられそうだけどね」
そこで漸く戻ってくる紬。
「私はどちらでも構わないよ。何なら治が待機で私が敦くんと動いても構わないし」
「うーん……」
悩み始める国木田。
太宰に待機をさせたらそれを口実にサボるのが目に見えている………。
「紬が待機。太宰と敦は直ぐに調査に当たれ。」
「「「了解」」」
―――
日が沈み、空がオレンジから藍色へと変わった午後6時過ぎ頃――
「もう潜入に行くのかい?」
出掛ける支度をしている国木田と谷崎に話し掛ける紬。
「はい。目撃情報が全て8時前後なンですよ」
「へえ。裏をかいているのか。或いは違う目的か……何れにしても珍しいね」
「そうですね」
「行くぞ、谷崎。紬、この書類の発送を頼めるか?切手が………」
「ふふっ。備品管理の鬼がモノを切らすとは珍しいね。承るよ」
暇だしね、と云って受け取る。
「あ、兄様。ナオミは今日は先に帰ってますわ。鏡花ちゃんも一緒に帰りましょ?」
ナオミが鏡花の手を引いて帰りを促す。
「じャあ途中まで一緒に行こう」
では失礼します。と紬に挨拶をして四人は出て行った。
紬は笑顔で見送って机に戻る。
そして
「………目撃情報があるのに警察でなく民間に依頼?」
谷崎との会話で得た疑問を口に出してブツブツ考え込む。