第10章 連続爆破事件
『次のニュースです。本日、午後1時頃、爆弾による爆破事件が発生しました。被害に在ったのは○○駅前の複合施設の建物で――…………四日前から発生し今日で九件目となる爆破事件。警察は連続爆破事件として特別捜査本部を設置し…………』
武装探偵社事務所内にあるテレビの前
「また派手にやっているねー」
お茶を飲みながら観ている男と
「死亡者も怪我人も多数出てるねー」
煎餅を食べながら観ている女が
「太宰!いい加減、仕事しろ!」
「「ん?今良いところなのだよ。」」
事件の内容とは正反対に、のんびりとした様子でテレビ鑑賞している午後2時過ぎ。
「何処が良いところなんだ!?報道されている惨事は本日38分前を以てウチに解決を依頼された事案なんだぞ!?」
国木田が大声で怒鳴り散らす。
「「だから情報収集をね?」」
「茶を啜り、煎餅食べながら観る内容じゃないだろうが!」
息ピッタリに言い訳する太宰兄妹に火を吹かん勢いで説教を始めた。
―――
10分は続いた説教の末、机に向かう太宰兄妹。
「ったく。爆破事件以外にも完全犯罪と呼ばれた殺人事件の解決依頼と、密売組織の証拠収集の依頼が重なってると云うのに。」
国木田が凄い勢いで怒鳴った理由だった。
四日前から相次いで探偵社に大規模な依頼が舞い込んでいたのだ。
時効間際の殺人事件の解決依頼を受けて、
北は北海道、南は九州までの全国規模を移動しながら乱歩と、お目付け役として賢治が既に出掛けている。
そして、今日の夕暮れ時には国木田と谷崎が密売組織の証拠収集に出掛ける予定だ。
つまり、この連続爆破事件の解決依頼をするのは太宰兄妹と敦しかいないのだ。
それなのにこの体たらく…
組合の件もあると云うのに。
国木田は頭を抱えている。
「紬。抑も、お前が過去の依頼内容や捜査資料を見たいと云ったから貸したんだぞ?」
紬の机に山済みになった分厚い資料を指しながら云う国木田。
「もう凡て目を通したし頭に入ったから直しておくよ。」
「………は?」
よっ、と纏めて運んで資料室に戻しに行く紬。
その行動をポカンとしながら見ている国木田。
本当に読んだのか!?
「紬は、あれくらいの量なら30分もあれば暗記できるよ」
国木田の考えを見透かしたように兄が答えた。