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【文スト】対黒

第1章 再会


そんな項垂れている国木田を笑いながら見ていると突然、部屋の扉が開く。

「国木田ー!太宰の双子が来てるんだってー!?」

入ってきたのは探偵社一の自由人と

「乱歩さん!」

「どんな姿か見たくて見たくて。待ちきれなくてねェ」

白衣を纏った大和撫子。

「与謝野女医!」


そんな二人に、慌てて歩み寄る国木田。

「まだ試験中で「いやー!」」

その後ろから紬はひょっこり現れて、国木田の言葉を遮った。

「探偵社の方々が態々会いに来てくれるなど感激だなあ。何時も治がお世話になってます。片割れの紬です。」

「全く以てその通りだよ!あ、僕は江戸川乱歩ねっ。」

「妾は与謝野晶子だよ。ホントに双子なんだねェ。そっくりだ。」


満面な笑みで挨拶をする紬と和気藹々と話す乱歩たち。

プチンッ

「おい……。」

がっしりと紬の頭を掴む。

本日初対面だと云うのに。
扱いが既に太宰仕様だ。


その額には青筋が浮かんでいる。


「何だい?」

悪怯れる事なく首を傾ける紬も紬だが。


「まだ試験中だろうが。早く席に戻れ!」

「ああ!そうだったね!」


忘れていたのか!?


国木田の額の青筋がひとつ増えた。

紬は机に戻り、答案用紙を手に取る。

着席する気配は、無い。


「終わった事を告げるのを忘れていたね。いやー申し訳無い。」

「……は?」

はい。と渡された紙には解答がきっちり書かれている。

「……。」

「あまり怒ると頭髪の生え際が1.38㎜後退するのだよ?」

「何?」

具体的過ぎる数字に疑う事なく懐から取り出した手帳にメモをする。


「性格も太宰に似ているのだねェ。」

「ははは。」


与謝野に云われ、笑っている隙に乱歩が国木田の手にある紙切れに目をやり、


「君さ。」

紬を見つめる。

「はい?」

「今まで何してたの?」

「学業を修了してからは特に何もせず、ぶらぶらして居ましたが。」

「………。」

「「?」」

紬の答えにも反応せずに数秒凝視する。

その様子を不思議そうに見る与謝野と国木田。


そう云えば以前にも似た様なことが―……?


国木田の脳裏を過ると同時に乱歩が口を開く。


「そう。君も太宰と一緒、か。」
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