第9章 双黒と対黒
「そして彼女が其処で終わる筈がない。」
「……。」
確かにそうだ。
アイツがこんな中途半端で『温い』仕返しをする筈がない。
「恐らく、彼の居場所、侵入経路、最適な潜入時間。この作戦を成功させるための凡る助言をしている」
目の前の紅茶に口を付けながら話す首領。
「君は元相棒を敵にまわして負債を負わずにこの件を片付けられる最適解を持っているかい?」
「いえ………残念乍ら」
少し小声で返す中也。
「落ち込むこと無いよ。私も先手を打たれていることに変わりはない。然し、彼女のもたらす結果の行き着く先は私の最適解と同じだ」
「………つまり我々が動く必要は無いと?」
中也が問うと首領はニッコリ笑って云った。
「その通りだよ。最終的に相手が全滅するシナリオだからね」
その夜、芥川への奇襲が起こったが。
首領の云った通り、未遂に終わり相手が全滅する結果という報告を受けた。