第6章 Murder on D street
「「マズい」」
紬と太宰が同時に反応し、それに次いで敦が反応する。
ジャキッと銃を構える杉本。
「「行け敦君!」」
「え!?」
太宰に背中を押されて、よくも判らないまま杉本に向かう敦。
「止めろ!」
「!」
ズドンッ!
箕浦の制止と、杉本が発砲したのとが重なる。
が、数秒。
発砲した弾が人に当たらない軌道に、杉本の手首を掴んで変更した敦の行動の方が早かった。
そのまま杉本の拘束に取り掛かる。
「「お、やるねえ。」」
感心したように言う太宰兄妹。
「放せ!僕は関係ない!」
敦の拘束に抵抗する杉本。
それに乱歩が歩み寄る。
「逃げても無駄だよ。犯行時刻は昨日の早朝。場所はここから140米上流の造船所跡地。」
「なっ、何故それを……!」
自分しか知らない筈の事を指摘され、思わず反応する杉本。
「そこに行けばある筈だ。君と被害者の足跡が。消しきれなかった血痕も。」
「どうして……バレるはずないのに……」
驚愕する杉本。
そして、抵抗する気配が消える。
「続きは職場で聞こう。お前にとっては……元職場になるかもしれんが」
箕浦が手錠を用意した。
―――
警察署玄関前――
「……世話になったな。それに……なんだ。実力疑って悪かった。難事件があったらまた頼む。」
箕浦がばつの悪そうな顔で乱歩に謝罪の旨を述べる。
乱歩は先程までの非礼など全く気にしてない様子だ。
「僕の能力が必要になったらいつでもご用命を。次からは割引価格で良いよ。」
気分よさそうにそういい、乱歩は警察署を後にした。