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【文スト】対黒

第6章 Murder on D street


「………………な・る・ほ・ど」

「犯人が判ったのか」

「勿論」

そう答えるまでに時間は数十秒。
勿論、1分は経っていない。

「くくっどんな牽強付会が出るやら……犯人は誰だ?」

完全に信じきっていない箕浦が乱歩に尋ねる。

乱歩は犯人を躊躇うことなく指差しながらハッキリと言った。

「犯人は君だ。」

「――――は?」

その指先に居る人物、杉本が少し間を置いて反応する。

「くっ……ははは!!おいおい貴様の力とは笑いを取る能力か?杉本巡査は警官で俺の部下だぞ!」


「杉本巡査が彼女を殺した。」


馬鹿笑いをしながら乱歩に吐き捨てる箕浦だが、乱歩は一切揺るがない。


「莫迦を云え!大体こんな近くに都合良く犯人が居るなど……」

「犯人だからこそ捜査現場に居たがる。それに云わなかったけ?『どこに証拠があるかも判る』って。」

そう告げると杉本の方に手を出す。

「拳銃貸して」

「ば、莫迦云わないで下さい。一般人に官給の拳銃を渡したりしたら減俸じゃ済みませんよ!」

「その通りだ。何を言い出すかと思えば……探偵って奴は口先だけの阿呆なのか?」

箕浦が手を横に出し、杉本の行動を制止しながら言う。

「その銃を調べて何も出なければ僕は口先だけの阿呆ってことになる。」

「……ふん。貴様の舌先三寸はもう沢山だ。杉本、見せてやれ。」

手を降ろし、杉本に命令する箕浦。

「え?で、ですが。」

「ここまで吠えたんだ。納得すれば大人しく帰るだろう。これ以上時間を無駄にはできん。銃を渡してやれ。」

「……。」

上司の命令にも関わらず、直ぐに動こうとしない杉本。

「おい、どうした。」

箕浦を不安が襲う。

「いくらこの街でも素人が銃弾を補充するのは容易じゃない。官給品の銃であれば尚更。」

「………ッ」

「何を……黙っている杉本。」

反応しない杉本に、焦りが生じる箕浦。

それもお見通しと言わんばかりに続ける乱歩。

「彼は考えてる最中だよ。減った三発分の銃弾についてどう言い訳するかをね。」

「オイ杉本!お前が犯人の筈がない。だから早く銃を渡せ!」

箕浦が必死に銃を渡すように呼び掛けると、ゆっくり銃に手を伸ばす杉本。



銃を取り出すと――――安全装置を外した。

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